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この資料は、日本から観察できるいくつかの星座について、星座の概要、特徴的な天体、日常生活との結びつき、天文学史的なエピソード、星座にまつわる神話や伝説等を集めてまとめたものです。日周運動や年周運動の授業の中で、また、星空の観察会や、子どもの星座観察の資料として利用してください。
おおぐまそのものの姿よりは、北斗七星が有名な星座である。北斗七星はおおぐまのお尻としっぽの部分であるが、おおぐまの全容を想像するにはかなりの慣れが必要である。しかし、図を参考にして熊の姿見つけ日周運動をイメージすると、おおぐまが1日かけて、後ろ宙返りをして、見事に着地する。
北斗の柄の先から2番目の星、ミザール(ζCMa,2等星)はすぐそばに4等星のアルコルがあり、視力のいい人なら2つに見分けられるという二重星である。また、ηから24番とたどるとりょうけん座の中に、見事な渦巻き状の系外銀河M51がある。この銀河は近くに小さな銀河がもう一つ並んでいるので子持ち銀河とも呼ばれる。また、北斗のα、γの間隔だけαから延ばしたところにも M81、M82の銀河がハの字型に並ぶ。
天の北極の位置は、地球の自転軸の向きの変化によって移り変わっていく。地球の自転軸の変化に伴う春分点の移動を「歳差」といい、それによって天体の位置の表し方(赤経・赤緯等)も変わる。歳差の結果天の北極は25,800年を周期として天球上で半径23.4°の円を描いて回る。
例えば、北極星(αCMi)は2013年には天の北極まで27.6′と、現在の1/2 近くにまで接近する。その後だんだんと離れていき、2,500 年後にはケフェウス座のγが北極星となる。約12,000年後にはこと座のベガが天の北極付近で輝いていることだろう。現在の北極星が北極星として認められたのは今から2,000 年前以後で、それ以前のギリシャ時代はこぐま座のβの方が北極に近く、北極星とされ、当時の中国でもこぐま座βを「帝星」と呼んでいた。5,000 年前のエジプトでは、りゅう座のα(ツバーン)が天の北極近くにあり、ピラミッドの北の入口はこの星の方向に向けられている。2,600 年前には南十字星が十分に日本からも見ることができた。 耶馬大国の女王卑弥呼は南十字星を見ただろうか。また、過去に北極星は航海術にも用いられ、コロンブスは大西洋を真西に航海するのに、北極星の高度を毎夜測定して一定の値を保つように船を進めたそうだ。 【歳差による天の北極の移動】
おおぐま座とこぐま座の神話
月の女神アルテミスのの待女たちの中に、カリストという娘がいた。カリストは野山で狩りをするのが好きで快活でスポーティーな娘であった。その姿を見た大神ゼウスは彼女を気にいり、アルテミスの姿に化けてカリストに近づいた。やがて二人の間に、男の子アルカスが生まれた。それを知った潔癖なアルテミスは侍女のカリストを許さずののしりのことばを投げつけた。その瞬間カリストの姿はみにくい大熊に変わり、猟犬に森のなかへ追い立てられてしまった。(ゼウスの妻ヘラが、夫の所業に腹を立てカリストを大熊に変えてしまったという話もある)それから十数年が流れ、何も知らないカリストの子アルカスは立派な若者に成長し母親の血を引いて狩りの名手になった。
ある日、森で大きな熊に出会ったアルカスは、それを絶好の獲物だと思い、母親だとも知らずに槍を投げようとした。その瞬間、それを見たゼウスは自分の所業を悔い、アルカスに母親殺しの罪を犯せまいとして、彼を熊の姿に変え、いっしょに天上へとあげた。子熊になったアルカスは大熊を母親だと知ってか、またとりのがした獲物だと思い続けてかいつもおおぐまを追い続けている。しかも、ゼウスの妻ヘラの憎しみもとけず、「おおぐま座」と「こぐま座」はいつも天の北極のまわりを回り続け、地平線に沈むことがなく永遠に休息ができない。
〔北斗七星〕・・・・・おおぐま座のお尻からしっぽ 北斗の「斗」は液体の量を測る「枡」で柄がついたもの。ひしゃくの形である。(中国) 英語ではBig Dipper(ひしゃく、水をくむもの)。 北斗に対して、いて座に南斗六星がある。南斗六星はひしゃくをひっくり返した形で、英語ではMilk Dipper 、天の川(Milky Way)のミルクをすくうスプーンという意味で、天の川に浸っている。 また、中国では北斗七星は死を司る神、南斗六星は生を司る神とするいい伝えがある。(いて座参照)
α星アークトゥルス(Arcturus)はオレンジ色の0.1 等星の巨星。
固有運動が大きい星として知られていて、800 年間で月の直径分だけ動く。うしかい座の形は、猟犬を引きつれ手にこん棒を持ったうしかいの姿だが、アークトゥルスから北へ2等星や3等星をつないでいくと贈り物の「熨斗(のし)」の形、細長い五角形になる。
東空に昇るときは、うしかいが横になって一気に姿を見せ、西空に沈むときは足のほうから立ったまま名残惜しそうに沈むが、うしかいの男の正体はよくわからないようだ。
アークトゥルスとりょうけん座のコル・カロリのほぼ中間にある球状星団M3は視直径19′、6等級で見ごたえのある星団の一つである。
【うしかい座】→
εからα星レグルス(Regulus) までの6個の星のつながりは?マークを裏返しにした形になっていて「ししの大鎌」とも呼ばれている。β星デネボラ(Denebola)は獅子の尻尾の先である。
しし座流星群は毎年11月16,17 日ごろを中心に活動する。1時間に100 個以上の流星を眼視できることがあり、1966年にはアメリカで流星雨と呼ばれるほどの流星群が観測 され、歴史的にも流星雨の出現が何回も記録されている。母彗星の回帰にあたる1999年には大流星群が観測された。
しし座の神話
しし座の獅子はネメヤの谷に住む凶暴な人食い獅子である。誰もがこの獅子を恐れ、退治するどころか近づこうともしない。しかし、ギリシャ一の力持ちのヘルクレスが王の命によりこの獅子を退治することになる。弓を射ても矢が刺さらない、こん棒で叩きのめしても死なないような獅子であったが、こん棒の一撃でひるんだ隙に、のどもとまで飛び込んだヘルクレスは、持ち前の怪力で獅子を絞め殺し見事に退治してしまう。
おとめ座にはソンブレロ星雲という名前のM104や、おとめ座銀河団の名のとおりたくさんの系外銀河がかみのけ座にかけて集中してる。おとめ座銀河団は我々の銀河系が属している銀河。 ↑ 【おとめ座】 ↓
おとめ座の神話
おとめ座のおとめは大神ゼウスと月の女神テミスとの娘で、名はアストラエ(Astraea; 星の女の意味)。正義の女神で手に麦の穂(スピカ)を持っている。東にあるてんびん座のてんびんで世の中の善悪をさばいた。なお、Astr-は「星の」という意味の語幹で、
Astronomy(天文学)の語源。
また別の話では、おとめは、大神ゼウスの妹で農業の神であるデーメテールの娘のペルセポネーであるとされている。ペルセポネーには、冥土の神プルトーンにかかわる神話があるが、ここでは省略する。
かに座の神話
しし座と同じくヘルクレスに退治された化けがにである。レル ネアの沼地に住むヒドラ(うみへび座)に加勢するために送ら れたが、ヘルクレスにひと踏みにされ、ヒドラとともに退治され てしまう。しし・ヒドラ・かにはヘルクレスを憎むヘラ(ゼウスの 妻)にその健闘を讃えられ悪者ではあるが天上の星となった ものである。
←かに座のプレセベ(M44) 【かに座】
全天で最も長い星座。かに座の下に頭、しし座・おとめ座の南を通っててんびん座のすぐ西までの範囲を占めている。背中にコップ座・からす座をのせている。
【からす座】
四つの3等星、β・ε・γ・δの四辺形とからすのくちばしにあたるα星で形作られ、おとめ座の南(スピカの斜め右下)にあるわかりやすい星座である。この南、地平線下に南十字星がある。
このからすは 太陽神アポロンのペットのカラスで、もともと銀白色の翼をもち美しい声で人の言葉を話せた。アポロンは自分の愛したコロニスという娘にこのカラスを与えた。ところがある日このカラスは、コロニスが若い男と親しげに話しているのを見て、大げさにそのことをアポロンに密告した。頭に血が上ったアポロンはコロニスに矢を射て彼女を殺してしまった。しかし、この時コロニスはアポロンの子を身ごもっており、子供の命だけは助けて欲しいと頼んだ。後悔したアポロンは医師ケイロン(いて座として星座になっているケンタウロス族の偉人)に頼んで男の子をとりだしてもらい養育させた。この子は後に名医アスクレピオス(へびつかい座になっている)になる。
さて、カラスの方と言えば、アポロンの不興を受け、白かった羽を黒く変えられ声もあのしわがれも声にされて、天に上げられたが、いつまでも目の前にあるコップの水(コップ座)にくちばしが届かないようにされてしまったということである。
【かみのけ座】
星座の名前にしては変わった名であるこの星座は、微光星のかたまりである。(もっとも明るいものでも4等星)この星座の周りは、星数の少ない春の星空のなかでもとくに星が少ない。これは銀河の北極が31番星の近くにあって、ガス星雲や暗黒星雲が密集している銀河面とは違って、恒星や星間ガスの非常に少ない部分にあたります。そのため、宇宙を遠くまで見透すこともでき、遠くの銀河もたくさん観測できる。
何が青鷺を分解
この星座にはベレニケの髪の毛というなかば史実に近い伝説がある。マケドニア王朝のプトレマイオス3世は、キュレネ(アフリカ北部の都市)を併合し、女王ベレニケを妻に迎えた。ベレニケは、夫が第三シリア戦争の際、シリアに出兵するあたってその無事と勝利を祈り、美の女神アフロディテに対して「王に勝利を与えて下されば、私はこの髪の毛を捧げます」と誓った。そして、プトレマイオスの勝利を知るや彼女は美しい髪を切って神殿に捧げた。帰国した王はこのことを知って驚き、翌朝神殿に出向いたが不思議にも髪の毛は神殿から消え失せていた。王が天文学者に「これはどうしたことか。」とたずねると、彼はちょうどそのころ天に現れ始めた星の群れを指さし、「神が王妃のこころばせと髪の美しさを愛でて、星座� ��群れに加えられたのです。」と答えた。このことを聞いて王も王妃も大いに満足したということです。
【かんむり座】
うしかい座とヘラクレス座の間にある小さな星座だが、2.3 等のα星アルフェッカ(ゲンマ)の他は4等星だが半円形のきれいな星の並びは誰でも王冠を連想できる。学名をCorona Borealis (北のかんむり)といい、みなみのかんむり座と区別する。冠の半円の中にある5.8 等のかんむり座Rは突如として14.8等まで変光する不規則変光星として有名である。
8月の初めの午後8時ごろ、天頂付近で南中する。南の空高くさかさまになったヘラクレスの勇姿を見ることができる。ただ、3,4等星中心の星座なので星座を形どった星図でしっかりと星をたどっていく必要がある。
π、ε、δ、η、ζ、β、の6つの星でつくるH形と、ヘルクレスの頭であるα星(ラスアルゲチ)を結ぶと一応星座の形が想像できる。
この星座には、北天一の球状星団M13がある。ζとηを結んだほぼ中間ややη寄りに、双眼鏡を向けると周囲の恒星とは区別できるぼうっーとした丸い光斑を見つけることができる。8〜10cmの望遠鏡でも表面がざらつい
た感じがするが、ひとつぶひとつぶの星が見えるのは15cm以上が必要か。また、太陽は地球を始め太陽系天体を引き連れて、太陽向点(ヘルクレスの左手首、ο星のあたり)へ向かって19.4km/sで空間運動をしている。
ヘルクレス座の神話
《へびつかい座》
一覧表へ戻る7,8月の南天、さそり座のすぐ上(北側)に、将棋の駒の形を想像できるへびつかい座が昇る。駒の頂点はα星(ラスアルハゲ)で、そこから左回りにβ(γ)、η、ζ、δ、λ、κとたどりαへもどると完成する。ギリシャ一の医師アスクレピオスが、神聖かつ健康のシンボルと考えられていた蛇をつかんで立っている姿である。星座の東西にはへび座の頭と尻尾があり、ラスアルハゲは蛇をつかむ者の頭という意味。
この星座には、M10、M12等の球状星団や散開星団がたくさんあるが、やはりバーナード星 (Barnard's ranaway Star ) が最も注目される。β星の東にある9.5 等星の星は、空間速度が10.3″/年の速さで、66番星のすぐ横を北へ進んでいる。これは180 年たつと月の直径分だけ位置を変える速さであり、われわれの方には毎秒108km の猛スピードで近づいている。さらにこのバーナード星のまわりには木星の0.7 〜1.6 倍程度の惑星が5個ぐらい存在していると言われている。 また、ケプラーの新星と呼ばれる超新星(Super Nova)が1604年、θ星の南西に-2.5等級の明るさに輝いたことが記録されていることでも有名である。 ちなみにわれわれの銀河系内での超新星の出現が記録されているのは、1054年の超新星へびつかい座(かに星雲)、チコの新星(1572年) と合わせて3個だけである。
へびつかい座の神話
アスクレオピスは、太陽の神アポロンとコロニスとの間に生まれたがコロニスは彼を産んですぐに死んでしまった。(【からす座】を参照)そのためケイロンという偉人に育てられやがてギリシャ一の医師となった。彼は、たくさんの人達の病や傷をなおしたが、熱心さのあまり死者をも生き返らせるようになった。これを知った冥土の神プルトーンは黄泉の国に死者が来なくなっては大変と、ゼウスのもとに生死を勝手に変えるようなことはしないようにと訴えた。ゼウスも天地のさだめが乱れると感じ、やむなくアスクレオピスを雷で撃ち殺してしまったが、彼の医師としての業績を讃え天上の星座とした。
さそり座は、冬のオリオン座とならんで最も均整のとれたわかりやすい星座のひとつである。α星アンタレス(Antares)は赤い超巨星で、表面温度は3000度程度であるが、直径は太陽の230 倍という巨人の星である。火星に対抗する赤さと明るさを持つという意味でギリシャ語のアンチ・ターレスがつまってアンタレスと命名された(プトレマイオスの「アルマゲスト」の中で)。
また、夏の銀河の近くに位置し、いて座と同様に星雲・星団の宝庫である。そのいくつかを次に上げよう。
〔散開星団M6,M7〕
さそりの尻尾のすぐ上、いて座に近いところにある。双眼鏡では同一視野にとらえることができ、ともに星がきらきらと輝く真珠の集まりのようである。とくにM7は蝶が羽を広げたような形で星が並んでいるように見える。
〔球状星団M4,M80〕
アタンレスの真西にあり、アンタレス・M4・σ星とで小さな直角三角形になる。まばらな球状星団なので低倍率でも周辺の星が散らばっているのが分かる。M80はσ星から1.5 °北西のところにあり、中心がしっかりとつまったこじんまりとした星団である。
また、このあたりにはIC4606等の散光星雲と光を遮っている暗黒星雲とが入り乱れてる。 さそり座→
さそり座の神話
さそり座のさそりは、オリオンを殺した大殊勲のため天上の星座となったことはあまりにも有名である。猟師オリオンは日頃から「この世に俺ほど強いものはいない。どんな獣でも俺のこん棒でいちころだ。」と豪語し、動物たちを根絶やしにしそうな勢いであった。これを憂えるオリンポスの神々の話がヘラの耳に入り、ヘラは怒って毒さそりを刺客として放った。これが見事に成功、さそりはオリオンの足を刺し毒が回ったオリオンは死んでしまった。死後、彼に好意を寄せていたアルテミスによって天上へ上げられるが、天敵さそりを恐れて絶対に同時に夜空に昇ってこないということもまたよく知られている話である。星座早見盤で調べてみると面白い。さそりの頭の部分(赤経16h 赤緯−22°付近)が地平線に出るとすぐ、オリオンの顔(赤経5h40m 赤緯+12°付近)さそりに背を向けながら沈んでしまう。また、さそりが西の地平線に全部沈むと、しばらく様子を伺ってからオリオンが昇ってくるのである。
なお、オリオンの死因については別の話がある。(オリオン座の神話参照)
夏の南空低く天の川が最も濃く広がる所、半身半馬のケイローンが弓に矢をつがえてさそりの心臓を狙っている。南斗六星(ζ、τ、σ、φ、λ、μで形作るひしゃくの形、英語でMilk Dipper )を中心として2等星,3等星の星が弓を持つケイローンの姿を作っている。α、β星は馬の膝と足先にあたり、地平線近くにしか昇らない4等星のため、あまりお目にかかれない。
天の川銀河の中心部は、矢の先(γ星)の付近、赤経17h42m、赤緯28°55′(1950.0)にあって、この部分では銀河がひときわ明るく濃くなっている。われわれはこの中心から約3万光年離れた所にある一恒星(太陽)の回りを公転しながら、銀河の中心の回りを毎秒250km という速さで2億年かかって一周している。
ちなみに、天の川として星空をぐるりと取り巻く光の帯は、直径10万光年の平らな凸レンズ状に広がる約2000億個の恒星が集まりを、その中にいるわれわれが内側から見ているものである。
いて座は、銀河中心の方向にあるので星雲・星団が非常に多い。次にそのいくつかをあげる。
南斗のσ、λ間を2倍西へ延ばした所にある大きな星雲で、双眼鏡や小口径の望遠鏡でも容易に見ることができる。高倍率で見るとその形が干潟や珊瑚礁のような形に見えることから、干潟星雲・ラグーン星雲の名前がある。カラー写真ではきれいなピンク色に写る。
〔散光星雲M20(三裂星雲)〕
M8のすぐ北にある少し小型の星雲でM8同様ピンク色に見える。口径の大きい望遠鏡ではその中央に暗黒帯のため三つに分かれて見えるのでこの名前がある。
〔散光星雲M17(オメガ星雲)〕
M20のさらに北、たて座とへび座との境界線付近にある。ギリシャ文字のωのかたちに見えるというのでオメガ星雲という名前がある。小口径の望遠鏡でも観察できる。
〔球状星団M22〕
M13に劣らない大きな球状星団で8cm程度の望遠鏡で十分に星が分かれてみえる。λの北3°付近にありλとσとこの星団で小さな直角三角形を作っている。
〔散開星団M23〕
双眼鏡で見つかる。銀河のなかにうもれる銀の砂粒のように輝く。 【いて座】
その他、いて座にはM18、M24、M25、M28など多くの星団・星雲がある。
いて座の神話と伝説
ギリシャ神話では、いて座はケンタウルス族(半身半馬の種族)の中でも武術や医術に優れ好人物であったケイロンである。彼は不死身で、ヘルクレスやアキレスには武術を、アスクレオピスには医術を教えた。ケンタウルス族は実在の騎馬民族だとも言われケンタウルス座として有名である。
中国では北斗は死を司る神、いて座の南斗は生を司る神とされている。そして、人が生まれると二人の神は相談してその人の寿命を決め、寿命帳に記入していた。このことについて次のような話がある。
昔、魏の国に管輅(かんろ)という天文や人相を見る人がいた。ある日、管輅が麦畑で農民の親子にあった。その子どもの顔をふと見ると死相が現れ十九歳までしか生きられない運命になっていることがわかった。その事を親子に告げて立ち去ろうとすると、その子の父親は彼のあとを十里も追って、「どうすればこの子の寿命を延ばすことができるか」と尋ねた。子を思う親の心にうたれた管輅は「ひとつだけ方法がある。上等の酒と鹿の乾肉を持って、麦畑の端にある桑の木のもとで碁を打っている二人の老人のところに行き、一言もしゃべることなく、ひたすら酒と肉をすすめなさい。」と言った。その子どもは言われたとおり酒と肉を二人の老人にすすめつづけた。二人は酒を飲みながらひたすら碁を打っていた。そして一局� ��終わったとき、北側に座っていた黒い碁石を持っていた老人が凄まじい形相で怒鳴りつけた。「おまえは何故ここに来たのだ。」と「しかし、その子どもは管輅に言われたとおり、一言も話さずおじぎをしながらさらに酒をすすめた。しばらくして南側に座っていた白い碁石を持った老人が言った。「まあまあ、たらふく御馳走になったことだしなあ・・・・」と言いながら寿命帳を取り出した。「この子の寿命は、うーむ十九か。余りにも短いのう。」と言って、十九の前に九をつけ加え、九十九としてやった。子どもは大喜びで帰って管輅にことの次第を告げお礼をしようとした。しかし、管輅は礼も受け取らず「あの北に座っていた老人が北斗という神で、南に座っていた老人が南斗といって生を司る神なのだ」と言い残して立ち� �ったということです。
【東天に昇る夏の大三角】↑ 【夏の大三角】↓
MARSは何キロ離れて太陽からです。
七夕の織女星ベガ(Vega 0.0等星) が、夜遅く天頂付近に青白く輝くと真夏の訪れである。旧暦の七夕祭りはこのころである。こと座はオルフェウスの竪琴で、ベガと平行四辺形をつくる4つの星とで形作られている。
βとλを結ぶ(平行四辺形の短辺)線のほぼ中間、β寄りのところに環状(リング状、ドーナツ状)星雲M57がある。8cm程度の望遠鏡で、たばこの煙の環のような淡紅色の姿が見つけられる。この星雲は過去に中心の星が爆発して飛び散ったガスが環のように拡散し、中央にある星からの強い紫外線を受けて輝いているものである。
二重星、というよりは2×2の四重星として、ベガの横にε星がある。εLyr はε1 とε2 とが3.5 ′離れているので理屈では肉眼で2つに分かれて見える (人の目の分解能は1〜2′)はずである。写真やオペラグラスでは十分分解して見える。さらにこれを5,6cm以上の望遠鏡で見るとそれぞれが2つに分離して見える(下図)ので、ダブル・ダブルスターとも呼ばれている。
太陽の神(音楽の神でもある)アポロンは、ヘルメスがつくった亀の甲に7本のひもを張り渡した素晴らしい琴をもらい受けた。アポロンは後日この琴を息子のオルフェウスに与え た。そしてオルフェウスはすばらしい琴の名人に成長し、やがて美しい妻エウリディケを得た。この時の美しい琴の調べはこの上ない讃美の響きとなった。
しかし、この調べは間もなく悲しみの調べとなる。最愛の妻エウリディケが毒へびにかまれて死んでしまったからである。オルフェウスは亡き妻を慕い、死の国へくだっていき、その国王プルトーンや死者の国の霊の前で悲しみの琴を奏でる。さすがの死の国の王もその音楽の力にうたれ、エウリディケをもう一度地上へ返すことにした。その条件としてこの世に返ってくるまでの道のりに� �ついてくる妻の方を絶対に振り向かないことを約束させられた。しかし、その途中、ついてくるはずの妻の足音が聞こえない気がして、ついに我慢し切れずに後ろを振り返った。そのとたん、妻は悲鳴とともに暗黒の闇の中へと引き戻され、二度と見ることはなかった。
1等星アルタイル(Altair)は、七夕の牽牛星で天の川をはさんでベガと向かい合っている。このアルタイルと接近したβ、γ星との並びを鷲の頭と首にみたて、δを胸、ζとθを結んで翼とし、λを尾とすれば、天空を舞う鷲の姿が想像できる。わし座は天の川の近くにありながら目ぼしい星雲・星団などはない。ただアルタイルは太陽の約1.7 倍の直径を持つ恒星だが、自転速度が250km/s 、自転周期がたったの7時間という猛スピードで回転していることが知られている(太陽の自転速度は1.7km/s 、自転周期は約27日)
わし座の神話 【わし座】→
ゼウスが化身した鷲とされている。美少年ガニメデ(みずがめ
座のみずがめを持っている少年)をさらった鷲である。また、ゼ
ウスのつかいとして情報集めをしている鷲とも言われている。
これは、主として中国の伝説が日本に伝わったもので、日本では七夕祭りでよく知られた、天の川をはさむ「こと座」のベガ(織女)と「わし座」のアルタイル(牽牛)の話である。
天の川の東に美しい乙女がいた。天帝の娘で名を織女といった。彼女の仕事は機織りで、明けても暮れても休むことなく織り続
ける毎日であった。はでに遊ぶこともなく毎日仕事に励む彼女のけなげさに、天帝は「若い娘があれではかわいそうだ。いい夫を
持たせてあげよう。」と思った。そこで天帝は天の川の西に住む牛飼いの牽牛という若者と暮らせるようにした。しかし、織女は牽牛と暮らせるようになると、機織りも忘れて天の川の西岸へ行ったきりで遊びほうけた生活を続けた。それに腹を立てた天帝は、織女を川の東に戻し、1年に1回、7月7日の日にだけ牽牛と会うことを許した。しかし、二人が待ち焦がれた7月7日の日はよく雨が降り、天の川が洪水で渡れないことが多かった。そんな時、二人は互いに名を呼び合い涙を流す。泣いている織女を見てかわいそうに思ったカササギがどこからともなくたくさん飛んできて、天の川に橋をつくりその上を織女に西岸まで渡らせてやるのだという。
この物語がいつか星祭りの行事と結び付き、織女に技術の上達を願う祭りとなって織女星にお酒や食べ物を供える風習ができ た。中国では、七夕(しちせき)といって7月7日に牽牛と織女を祭る。日本では持統天皇のころ(691年)7月7日に朝廷で宴が開かれたという記録があり、しだいに貴族社会から庶民の間まで広がり、江戸時代には日本の年中行事となった。この過程で織女には機織りの神である「たなばた」姫をあて「棚機(たなばた)」または「織り姫」と呼んだ。その姫を祭る行事として七夕を「たなばた」と 呼ぶようになったという。現在の七夕は、願いごとをかなえるという点が残り、観光的な意味合いを持った行事にもなってしまっている。また、新暦の7月7日が定着してしまったので、梅雨シーズンで� �あり、こと・わし座も東空に低く、満天の星の中の七夕祭りとはいかないようだ。
また、カササギの渡した橋については、古来の和歌などで、「橋」の序詞として「かささぎの渡せる・・」が使われている。
「かささぎの 渡せる橋に おく霜の しろきを見れば 夜ぞ更けにける」 (大伴家持:小倉百人一首)
α(デネブ)、β(アルビレオ)、γ、δ、εでつくる十字形は北十字と呼ばれ、天の川をわたるはくちょうの姿を形作っている。また、天の川にかかるデネブ・ベガ・アルタイルを結んで夏の大三角と呼ぶことは広く知られている。
はくちょう座には、美しい二重星や星雲がある。はくちょうのくちばしにあたるβ星アルビレオは小望遠鏡でも観察できる連星である。オレンジ色の3.1 等星と、青緑の5.4 等星とが34.6″の間隔で並んでいて、公転周期約30万年で互いのまわりを回っている。星雲も多く標準レンズで少し追尾撮影をすると、デネブの近くに、北アメリカ星雲(NGC7000) 、ペリカン星雲(IC5067)が、γ星の近くにNGC6910 などが淡紅色に写ってくる。いずれも水素ガスが近くの恒星の放つ光に励起されて光っている散光星雲である。このあたりからはくちょう座全域には暗黒星雲も多く、背景にある銀河の光を通さない微粒子や濃いガスが、いろいろな形の黒い模様を作っている。また翼の先のε付近には網状星雲(NGC6960)がある。
【はくちょう座】 その他興味のある天体としては、はくちょう座61番星(61Cyg) がある。ベッセルが年周視差を始めて測定し、恒星までの距離を求めた星である。これは地球の公転の証拠でもあり、地動説の実証ともなった。ベッセルの測定した年周視差の値は0.3136″、この値は現在知られている0.293 ″にきわめて近い。距離は11.1光年となる。また、61番星の伴星には木星程度の惑星があるとが考えられている。惑星系を持つ恒星はこのほかにもいくつか知られているが、実際はもっとたくさん、ごく普通に存在していると予想できる。ただその惑星がわれわれからは観測されないだけである。
また、はくちょう座は、ブラックホールCyg X-1 という強いX線源が、η星の近くにあることでも有名である。
はくちょう座の神話
はくちょう座の白鳥もまたゼウスの変身したものである。ギリシャのスパルタ王の王妃レダは絶世の美人であった。ゼウスはこのレダを見染め、愛の神アフロディテ(ビーナス)に助力を求めた。アフロディテはゼウスを白鳥に化けさせ自分は鷲となってゼウスを追った。白鳥はレダのひざもとに逃げ込んだ。レダがこの白鳥をかわいそうに思い抱き寄せて愛撫しているうちにゼウスは思いをとげてしまう。この場面は古来多くの美術作品の題材となっている。(ミケランジェロやルーベンスの絵画)。やがてレダは大きな卵を産んだ。その一つからは、ふたご座のカストルとポルックスという双生児が生まれ、もう一つからはトロイ戦争の原因となる美女ヘレンが生まれることになる。
【てんびん座】
さそり座とおとめ座の中間に、三つの3等星α(二重星)、β、γでくの字形を描いている星座がある。これが、おとめ座の正義の神アストラエがこの世の善悪を測ったというてんびんである。黄道12星座のひとつ。
【いるか座】
わし座のアルタイルの東側に、三つの4等星と一つの5等星が小さな菱形を作ってきらきらと輝いているイルカは、いるか?探してください。
【や座】
わし座の北側にある小さな星座だが、星の並びは矢羽になっている。では、ひらかな一文字の星座名は、この「や」座と、「ほ」座とあと一つは何でしょう?
【こぎつね座】
や座の北、はくちょう座の南に位置する。M27(亜鈴状星雲)がある。かなり大きな惑星状星雲なので6cmら50倍ぐらいでふわっとした鉄アレイの形がわかる。
【りゅう座】
天の北極のまわりをぐるっと取り囲むような長い龍の姿が、星図をたよりに見つけられる。りゅう座ι流星群(しぶんぎ座流星群とも呼ぶ。毎年1月4日頃極大)で有名。
Q1 十二支のうち、星座にないものはいくつ?
@ 2つ A 4つ B 6つ
Q2 日本では、ぎょしゃ座のカペラとおうし座のスバルとくじら座のミラは、ほぼ同時に
東の地平線をスタートするが、西の地平線へトップでゴールインするのはどれ?
@ カペラ A ミラ B スバル
飲んだ酒の種類は何?
@ 日本酒 A ビール B ぶどう酒
Q4 星座早見盤で、エリダヌス座を見ていたら、川の流れにそった星の列が南の地平線
の下にまで続いていた。気になって星座盤の南端をめくってみたら明るい星があった。
その星には何とかいてあったでしょうか。
@ ミルナー A アケルナー B ノゾクナー
Q5 (今度はまじめな問題です)星座の数は全天で88ありますが、その中で星座名の頭に
「みなみ」がつくのはいくつあるでしょうか。
@ 3つ A 4つ B 5つ
わかりやすい星座の少ない秋の南空高く、天馬ペガサスだけはその四辺形の形がよくわかる。ペガサスの四辺形と呼ばれるのは、ペガサスの胴体(腹)で、肩のあた
りのα(マルカブ:馬の鞍という意味)、前足のつけ根のβ(シェアト)、背中のあたりのγ、それにアンドロメダ座のα(ペガサス座と共有)とで形作られる正方形に近い四辺形である。馬の顔から鼻先にはθ、ε星があてはめられ、逆さになって飛ぶ天馬の姿を描いている。
あまり見るべき天体はないが、球状星団M15だけはきれいな星団である。鼻先のεの近くにあって望遠鏡の視野には近くにある6等星が入るので見つけやすい。
また、ペガサスの四辺形のγPegαAnd を結びその長さだけ真南に延ばしたところに春分点(うお座)があり、γPegαAnd の線と、βPegαPeg(マルカブ)の線をそのまま北に延長させ交わったところに天の北極がある。
ペガサス座の神話
ギリシャ神話では、ペガサスは、勇者ペルセウス(後述)が、魔女メドゥーサの首を切り落とした時に吹き出した血しぶきが岩にしみ込み、そこから現れたとされている。 ペルセウスはエジプトへ向かうときにペガサスに乗って空を飛ぶ。また、その後の 時代には、ペレフォーンという若者がキメラを退治したときにもこの天馬に乗って、空から矢を放ったということである。
エチオピア王国のケフェウス王とカシオペア王妃の娘で、星座の形はアンドロメダが化けくじらの生贄にとして鎖につながれている図である。
どのような非生物的要因は、 lynxを必要としていますか?
この星座を有名にしているのは何といってもアンドロメダ星雲(銀河)M31である。澄みきった秋空ならば肉眼でその存在が分かる。230 万光年の距離にあるわれわれの銀河系の隣の銀河の一つである。19世紀の終わり頃までは、肉眼による観測や望遠鏡の精度の低さのために、この銀河が、われわれの銀河系内の星雲なのか、また銀河系内で形成されつつある別の太陽系のようなものなのか、それとも銀河系外にある恒星の大集団なのか、結論は出なかった。しかし、望遠鏡の発達や写真技術の発達により、周辺部の個々の星の存在や、連続スペクトルの確認によって、恒星の大集団であることが分かり、やがてはケフェウスδ型変光星の存在から距離230 万光年が決定され系外銀河であることが分かった。
【カシオペア座】→
W字形で有名な星座。王妃カシオペアの姿であるが、W字が印象的なのでその姿をイメージしにくい。この星座は日本のほとんどの地域では、24時間地平に沈まない周極星として、北斗七星とともに北極星を探すのに役立っている。冬の銀河の中にあるので、散開星団や散光星雲も多く(M52,M103等)小望遠鏡や双眼鏡の対象となっている。
また、チコ・ブラーエが発見した超新星がκ星の近くにあった事が記録されていて(チコの新星と呼ばれている)、現在はその名残としてかすかな電波源カシオペアBがある。
エチオピア王国の王であり、アンドロメダ姫の父ケフェウスの姿である。カシオペア座の近くにα、β、γ、δとιでつくる形のよい五角形が特徴的である。
ケフェウス座で忘れてはならないのは、宇宙を測るものさしとも言える変光星ケフェウス座δである。この変光星は脈動変光星の一種で、その明るさが一定の周期で変化する規則変光星である。(δ星の変光周期は正確に5.366341日で、4.1 等から5.2 等まで規則的に変光している。このような規則変光星の中で、変光周期が50日以下のものには、変光周期とその実光度(絶対等級)とのあいだに一定の相関関係があることが知られていて、このような変光星をケフェウスδ型変光星(セファイド)と呼ぶ。つまり三角測量などでは算出できない遠距離にあるような星の距離であっても、その星がケフェウスδ型であれば、実光度がわかり距離を決定できる。また、ある星団または遠くの銀河のなかにケフェウスδ型変光星が発見されれば、その変光周期を測定することによって、星団や銀河の距離も決定できる。前述のように、アンドロメダ大星雲が系外銀河でありその距離が決められたのもアンドロメダ銀河中のケフェウスδ型変光星による。
← 【周期光度関係】 この星座には、ガーネットスターと呼ばれる美しい赤色の変光星もある。ケフェウス座μ星で、アルファ星とζ星のほぼ中間付近にある直径が太陽の1500倍もある巨星である。しかし表面温度は2000°K 程度の星で、その異常な赤みがガーネット(ざくろ石)に似ていることから、ウィリアム・ハーシェルが、ガーネットスターと名付け、神話ではケフェウスの血の涙として伝えられている。星野写真(カラー)などでは色彩がはっきりしてよく分かる。
ケフェウス・カシオペア・アンドロメダにまつわるギリシャ神話である。
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ギリシャの南、エチオピア王国の王ケフェウス(ケフェウス座として北天の星座になっている。)にはアンドロメダという美しい娘がいた。ところがアンドロメダの母カシオペアは、娘のアンドロメダの美しさを自慢し、「海の神ネレウスの50人の娘たち(ニンフといわれる妖精)の誰よりももずっと美しい。アンドロメダの前には彼女たちの美しさも輝きを失ってしまう」と豪語していた。それを聞いたネレウスの娘たちは、悔しがって海の大神ポセイドンに言いつけ、何とかし返しをして欲しいとたのんだ。ポセイドンはそれを聞き入れ、化けくじら(くじら座になっている)に命じてエチオピアの沿岸に大津波をおこさせ続けた。王国が化けくじらのために破壊されるのを危惧したケフェウスが、神々の意志を� �いたところ、「娘のアンドロメダ姫を化けくじらのいけにえに捧げれば、災いはなくなるであろう。」というお告げが下った。王は国のため泣く泣く娘を海岸の岩につないだ。この時ケフェウスが流した涙がケフェウス座のμ星(μCep)で、美しい赤色の星であるといわれる。この星はハーシェルがガーネットスターと名付けた。岩壁につながれたアンドロメダを化けくじらが狙う。
その時、エチオピアの海岸の上空を一人の勇者ペルセウスが、天馬ペガサスにまたがり颯爽と通りかかった。彼はちょうどメドゥーサ退治の帰りであった。ペルセウスは悪魔ゴルゴンを倒すためにいくつかのアイテムを用意していた。空を飛べる翼のあるサンダル・なんでも隠せる袋・かぶると姿が消える帽子・何でも切れる金剛剣・そして女神アテナにもらった青銅の楯、この楯はアテナの忠告にしたがってぴかぴかにみがいておいたものである。メドゥーサはその眼力で、見るものを石にしてしまう魔力を持っていた。ペルセウスは後ろ向きにメドゥーサに近づき、青銅の楯に写った姿を見ながら金剛剣でその首を切り落としてしまった。
さて、アンドロメダをひと目見たペルセウスは彼女にひかれ、助け出そうとした。そこへ化けくじらが襲う。空飛ぶサンダルをはいてペルセウスは空中から身をかわしながら攻撃する。しかし戦いの最中サンダルが海水に濡れ威力をなくしてしまい彼は海中へと転落していった。海中では化けくじらが絶対有利である。絶体絶命のペルセウスはとっさにふくろに隠したメドゥーサの首を取り出し化けくじらにその眼をむけた。化けくじらは一瞬にして石と化し海底深く沈んでいった。
アンドロメダを助けたペルセウスは彼女を妻にし、いつまでも仲良く暮らしたということです。
(ペルセウスに関しては、この前後に別の話がある。)
アルゴルは変光周期約2.87日で、2.3 等から3.5 等まで規則的に明るさを変える食変光星である。食変光は、主星と伴星の2つの星が互いの共通重心を一定の周期で回るようすを地球から見た場合、一方の星が他方の星をかくすときに明るさが変わることによる。古代のアラビアでは、アルゴルは悪魔の額に輝く星として恐れられていた。確かに3日足らずの周期で明るさを変える星は不気味な存在であるが、当時のアラビアの人々が変光に気づいていたかどうかは定かではないようだ。
ペルセウスの持つ剣先のカシオペア座との間に、h・χ星団と呼ばれる二重星団がある。これは0.5 °ほど離れたところにある2つの散開星団(NGC869,NGC884)であるが、星に記号をつけたバイエルはこれを恒星と見て、h、χという記号を付けたためこう呼ばれるようになった。毎年8月12から13日ごろになると、夜半に昇ってくるペルセウス座を輻射点(γ星付近にある)とした流星群が見られる。毎年1時間あたり50個程度が観測される三大流星群(りゅう座ι流星群、ふたご座流星群、ペルセウス座流星群)の一つである。母彗星スウィフト・タットルがその軌道に残した塵の中に地球が突入するためにおこる。
《その他の秋の星座》
【くじら座】
アンドロメダを襲う化けくじら。周期変光星ミラ(変光周期332 日、2等星から10等星まで変光するので見えるときと見えないときがある)がくじらの心臓に赤く輝く。ミラは不思議なものという意味。尾部にあるβ星デネブカイトスが2等星で最もよく目につく。
【うお座】
二匹の魚がひもでV字型につながれた星座。4等星以下なのでその形を想像するのは難しいが星野写真などで一つ一つ星のつながりを追っていくと2匹の魚に見えてくる。春分点が現在ω星の南にある。
【おひつじ座】
おひつじの姿などまったく想像できない比較的せまい範囲の星座である。今から2000年前には、春分点がこの星座にあり、その当時の黄道十二星座をもとに星占いが作られたので、春分の日(3/21)生まれの人の誕生星座はうお座ではなくおひつじ座となっている。
星占いの誕生日星座と実際の黄道十二星座上での太陽の位置がずれているわけは次のようである。
西洋占星術は、メソポタミアの古代オリエント文明のなかで生まれ、ギリシャ人によって完成された。誕生日の太陽が自分の星座にない理由は、まず、星占いの月は黄道を12等分して順に星座をあてはめたもの、現代の天文学で言う黄道星座は星座ごとに大きさが違っているので、太陽が通過する期間もまちまちである。これが1点目の理由。おまけに、春分点は歳差のため毎年50″ずつ西へずれていく。つまり2000年間ではおよそ一つの星座分だけずれてしまう。春分点はギリシャの時代にはおひつじ座にあった。この点を太陽が通過する日が春分の日(3月21日ごろ)だから、3月21日から1か月間の誕生星座をおひつじ座と決めた。ところが現在の春分点はうお座になっているから、太陽の位置は誕生星座のおひつじ座とは違ってくる� ��
【みずがめ座】
黄道十二星座のひとつ。みすがめを持った美少年ガニメデの姿。明るい球状星団M2や最大の惑星状星雲NGC7293 がある。
【やぎ座】
黄道十二星座のひとつ。頭は山羊で尻尾が魚という奇妙な姿で、牧神パーン(頭には山羊の角があり、足に蹄を持つ)が怪物デュフォンに追われて池の中に飛び込み魚に変身しようとしたとき、あわてたため化けそこなった姿。暗い星が多いが、星をつなぐと逆三角形になる
【みなみのうお座】
明るい1等星のないさびしい秋の星座のなかで、南天の空低く輝くα星フォーマルハウトで代表される。
星座の代表として誰もがよく知っている。二つの1等星ベテルギウス(Betelgeuse,0.4v等星)とリゲル(Ligel,0.1等星) 、γ(1.6等星)、κ(2.1
等星)の四辺形、オリオンのベルトにあたる三つ星(すべて2 等星)のでかたち作られた均整のとれた星座である。ベテルギウスは赤色超巨星として、また脈動変光星として知られ、その大きさは太陽の700倍から1000倍まで変化し、温度は3800℃(スペクトル型はM5) である。距離は500 光年ですが、もし太陽の位置に持ってきたとしたら、火星の軌道まですっぽりと包み込んでしまうことになる。それに対して、リゲルは、高温・青白色(スペクトル型B8, 温度12,000℃)で、実際は太陽の約3万倍の明るさを持っている。距離は600 光年であるが、もしシリウス(8.7 光年) の位置に置くと、上弦の月と同じくらいの光を投げかけることになる。 オリオン座の三つ星の下オリオンの剣にあたる部分のθ星の付近に有名なオリオン座の大星雲M
42がある。澄んだ暗い空なら肉眼で十分見えるし、双眼鏡では大きく広がった散光星雲であることがはっきり分かる。さらに、望遠鏡で倍率を上げると星雲の中心部に四重星トラペジウムが観察できる。星雲が見えるのは、これらの星の強い紫外線輻射によって励起された水素ガスが光っているためで、写真撮影すると美しい淡紅色に写る。このM42付近を含めて、オリオン座には水素ガスや宇宙塵が濃く漂っていて新しい星が誕生する領域(HU領域)になっている。長時間露出した写真ではオリオン座全体にあかくガスがかかったように、いわゆるバーナードループ、エンゼルフィッシュ星雲の存在が分かる。
オリオン座の神話
オリオンは海の神ポセイドンと女人国アマゾンの女王エウリアレーとの間に生まれた。水の上を歩いてわたれることができる優れた狩人だったが、その粗暴さのあまり彼を嫌うものは多かった。そのため生涯は諸国を放浪することが多く、最終的にはクレタ島にわたり月の神アルテミスに狩人として仕え、やがて彼女に愛されるようになった。
しかし、アルテミスの兄である太陽の神アポロンはオリオンと妹が付き合うのには猛反対であった。アルテミスに、何度もオリオンと別れるように説得したが聞き入れられず、ついにオリオン殺害計画を立てたのである。ある日彼は、いつものように湖面を歩いてわたっているオリオンに金色の光を当て岩に変えてしまう。そして、弓の名手であるアルテミスに、「いくらお前の腕がよいといっても、あの遠くにある岩を射抜けまい。」と挑発した。それと走らずアルテミスは弓に矢をつがえると岩に向かって矢を放った。彼女が的をはずすことはない。矢は岩をつらぬき、オリオンは死んでしまった。岸辺に打ち上げられたオリオンの姿を見てアルテミスは気も狂わんばかりに嘆き悲しんだ。しかし死者を生き返らせることはできな� ��った。その姿を見たゼウスは彼女の願いを受入れ、オリオンを天上の星座とした。月の神アルテミスはその後銀の車に乗り、月に一度オリオン座の近くを通る(月は白道上を移動する)ということである。
なお、オリオンの死については、別に「さそりに殺された(さそり座で前述)」説、「アルテミスの妹アウロラがオリオンと愛し合う仲になったのを知って、嫉妬に狂ったアルテミスがさそりに命じて殺させてしまった」という説がある。
プレアデス星団(M45)は、ヒアデスと違って年齢の若い星団で約5000万年と言われている。青白く(15,000 ℃)明るい星の集団で、空の澄んだところでは、双眼鏡で星の周囲に青白いガスが取り巻いているのも分かる。
星座の絵では、おうしの2本の角はオリオン座の方向にあるζ星と、ぎょしゃ座のβ星(おうし座と共有している)に伸びているが、ζ星の近くには「かに星雲(M1)」と呼ばれる 惑星状星雲がある。小口径の望遠鏡でもぼんやりとした輪郭が分かるが、かにの足のよ うに四方に飛び散る星雲の様子を見るには40〜50cm級の望遠鏡が必要である。これは1054年に起こった超新星の爆発による残骸で、藤原定家の「明月記」の中にも「客星天 関に孛(ぼっ)す。大きさ歳星の如し」とある。天関はおうし座η、歳星とは木星、孛すは急に現れるの意である。
ふたご座の神話
ギリシャ神話では、大神ゼウス白鳥に化して美女レダに近づき、レダに生ませた卵の一つから双子のカストルとポルックスが生まれたということである。兄弟はそれぞれ乗馬と拳闘の名手となり、アルゴ船の航海にも参加した。その途中、船は嵐にあい沈没しそうになった。その時、ハープの名手オルフェウス(こと座参照)が美しい調べを奏でると、嵐はうそのように静まり、カストルとポルックスの頭上に二つの星が輝いた。それ以来、古代・中世の船乗りたちは、この双子の兄弟を航海の守り神としてあがめた。
ポルックスは神性を持ち不死身であったが、カストルはいつかは死すべき運命にあった。(いとこのリュンケスに弓で射殺されている)ポルックスはこのことを憂え、父ゼウスに頼んで死んだカストルに自分の半生を与え、二人一緒に一日の半分は天上の星座として半分は地底の世界に暮らせるようにしてもらったのである。ちなみに、どちらが兄でどちらが弟かについては、カストルが兄であるという説もあるが、同じ卵から生まれたのでさだかではない。
カペラは全天で5番目に明るい星で、1等星のなかでは最も北よりにあるので、1年のほとんどの時期に見ることができる。太陽と表面温度が似ている黄色味をおびた星であるが
実体は2つの巨星がほぼ1天文単位ほど離れた近距離を104日の周期で回っている連星である(一方は太陽の直径の14倍、 0.9 等、もう一方は太陽の直径の9倍の1.0 等)。
ぎょしゃ座の五角形には、M36,M37,M38の大きさのよく似た3つの散開星団があって、星野写真でもよく写る。θ星とβ星(おうし座のβである。ぎょしゃのβは肩の部分にある)を結んだ線のほぼ垂直二等分線上に、五角形の外からM37、内側にM36、M38と並 んでいる。
《おおいぬ座》 一覧表へ戻る
木枯らしの吹く冬の南天にひときわ明るくシリウス(Sirius, αCMa,−1.46等星)が輝く。このシリウスとθ、γでできる三角形を犬の頭と見立て、明るい星を結んでいくと比較的容易におおいぬの姿を連想することができる。
おおいぬ座で星雲・星団は少ないが、散開星団M41は双眼鏡の対象として美しい。シリウスの南約4°にある5等級の星団である。
おおいぬ座の神話
おおいぬ座の犬は、「@オリオンの足元のうさぎを追っているオリオンの猟犬 A地獄の番犬ケルベレスの姿 B月の神アルテミスの猟犬でアクタイオンをかみ殺したライラプス Cアルテミスの侍女プロクリスの猟犬で、彼女が夫のケファロスに贈ったレラプスという犬」というように諸説があって定まらない。
このうち、プロクリスがケファロスにおくった犬は非常に足が速く、狙った獲物は必ずとらえるという猟犬であった。ある時、なにものにもとらえられない大ぎつねが国に現れ、この猟犬レラプスがさしむけられた。しかし、両者の対決は永遠に終わらない運命にあり、ゼウスはレラプスもきつねも共に石にしてしまった。ただ、レラプスはその健闘を讃えられ、後に星座になったということである。
【いっかくじゅう座】
冬の大三角、ベテルギウスプロキオンシリウスでつくる正三角形の中にある星座だが、明る
い星がなく星も散らばっているので、いっかくじゅうの姿は想像しにくい。星座よりむしろ、さまざまな星雲の方が注目される。その中でもばら星雲は天体写真でよくお目にかかるものである。この星雲は、散開星団NGC2244 と重なり、その中央の4個の星の出す強い紫外線のためにばらの花のように輝いている。
【うさぎ座】
オリオンの足元で飛び跳ねているうさぎである。3等星と4等星が中心の星座ではあるが、星の並びをたどると意外とうさぎの姿が浮かび上がる。
おわりに
四季の星空のなかで、最も美しいのは冬の星座だと言われる。身をさすような冷気の中、澄みきった夜空に絢爛とした星空が展開する。小学校の音楽の授業で「冬の星座」という歌を学習する。アメリカ民謡に堀内敬三氏が詩をつけたものである。
木枯らしとだえて さゆる空より ほのぼのあかりて 流るる銀河
地上に降りしく くすしき光よ オリオン舞立ち すばるはさざめく
ものみな憩える しじまの中に 無窮をゆびさす 北斗の針に
きらめきゆれつつ 星座はめぐる きらめきゆれつつ 星座はめぐる
この詩を思い浮かべながら冬の星空を眺めるだけで、意味合いや味わいは感じとられる素晴らしい詩である。無粋なようであるが、この詩に星座観察的な注釈を加えてみよう。
冬のシベリア寒気団の乾いた冷たい空気が、木枯らしと冴える空をもたらす。その空から8個の1等星(カストルは1.6 等なので正確には2等星だが)やプレアデス星団、オリオン大星雲等から神秘的な光が地上に降りしく。その光は街の灯の少なくなった暗い空にますますさえわたり、きらめきながら(冬の空はシンチュレーションが目立つ)日周運動をしている。冬の銀河の部分は夏の銀河(天の川に比べて淡く流れる。その近くを代表的な星座オリオンが真東から舞い立つ。振り返って北天を見れば北斗七星とカシオペアが北極星を中心に反時計回りに大きな円を描く。北斗の柄は無限の宇宙をゆびさすように正確に時計の針のように24時間(正確には23時間56分04秒)で、他の星々をしたがえるよう天空を一周している。
現在の星座の起源は紀元前30世紀のメソポタミアに栄えた古代オリエント文明にさかのぼる。シュメール人、バビロニア人を経て、新バビロニアの遊牧民族カルディア人によってその原型が作られたと言われている。星明りだけの闇の中での休息に、彼らは星のつながりに身近な物や、人や動物の姿を想い浮かべながら、宇宙と人間について思惟したに違いない。そして、星や太陽の動きを日常生活に利用するすべを追求する過程で、星や宇宙について考え、天文学が始まり、神話を始めとする文学も生まれた。
現代の我々のには星空を眺める場所も時間も心の余裕もない。せめて一年に一度でも満天の星空をゆっくりと眺めたい。また、子どもたちにもその機会を与えてやりたい。そのことが天文学習の出発点であることはもちろん、子ども一人一人の心に感動とうるおいを与えるであろう。
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参考図書
「春・夏・秋・冬の星座博物館」:山田 卓 著 (地人書館)
「星座ガイドブック 春夏編・秋冬編」:藤井 旭 著(誠文堂新光社)
「星座の神話」 :原 恵 著 (恒星社厚生閣)
「天文教室」 :黒田武彦 著 (恒星社厚生閣)
「星座アルバム 春夏編・秋冬編」::藤井 旭 著 (誠文堂新光社)
このページに掲載した星座の写真は、オリオン座を除いてすべて固定撮影で撮影したものです。(オリオン座は約3分ガイドしています。)なお、星座の写真のないものについてはまだ整理ができていませんので、でき次第随時追加していく予定です。
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